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One home run

映画、音楽などについて書いていきます。備忘録。

「クリーピー 偽りの隣人」黒沢清[映画]

映画 ★7

★7

犯罪心理学者の夫婦が越してきた家の隣には、奇妙な隣人が住んでいた‥というサイコスリラー。

 

黒沢監督がインタビューで、役者は監督の駒というか、巧さを重視してないのでは?というインタビアーに対し”役者の巧さのプライオリティは高い””巧い役者が巧く演じてくれるのがシンプルに1番良い”と語ってたけど、

 

今回の役者陣では、やはり香川照之の存在感はすごかった。(少しオーバーアクト気味だったけど)微妙にタイミングの合わない相づち、辻褄の合うようで合わない会話、ぎこちない動きや視線などが奇妙で、良い意味で気持ち悪い。

 

そして竹内結子。黒沢監督がここまで演技が巧いと思っていなかった、と語っていたけど、徐々に精神のバランスを崩していく様、ラストの演技は素晴らしかったし、それを順撮りで撮っていないと知ってなお驚いた。

 

また東出昌大も、刑事役という主人公側の人間であるのだけど虚ろな視線、不気味な存在感がよかった。

 

とはいえ、役者陣の演技が良いだけでなく監督の演出も巧い。

光の陰影や揺れるカーテンはもちろん、

役者の動かし方、役者の立ち位置・構図が面白かった。

例えば序盤の、妻・康子が西野の家に引っ越しの挨拶に行くシーン。

挨拶だけだから”家の門”から西野をわざわざ外に出す必要はないシーンなのだけど、”門を開けて康子の背後まで歩かせる”という単純な動きで、明らかに異質なものが門を開け世に放たれた、という不気味な印象を与えていて、物語が動き出す不吉な予感にドキドキ

させられた。

 

 

引っかかる所としては、危険と感づいていてるのに妙に呑気だったり、単体行動が多すぎたり、主人公や警察の行動に結構イライラした。

そういう風に主人公たちの行動に疑問が多いので、

主人公たちが合理的な行動をする→その半歩先の行動を相手側が取る、というスリルはあまり感じられなかった。

 

終盤の展開はおそらく皆読めると思うのだけど、西野の”ある弱点”も、でも中盤で〇〇を〇〇してたよね?と思ってしまってなんか引っかかる。

 

 

引っかかる所も少しあったけど、監督のいうように”ダークファンタジー”としては楽しめる。全体としては面白かったです。

映画館を出るときにはクロキヨ映画をスクリーンで堪能できた、という幸福な余韻に浸れました。