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One home run

映画、音楽などについて書いていきます。備忘録。

「ディーパンの闘い」ジャック・オーディアール[映画]

※ネタバレ含みます

 ★7

パルムドール受賞作。内戦から逃れフランスに入国するため家族を装う、難民キャンプで出会った男と女と女の子。
外では家族を演じ、家の中では他人同士の生活を続けるが、仕事を始め、学校に通い安らかな日々を少しずつ手にしていくなかで3人の間に徐々に絆のようなものが芽生え始める…。


圧倒的な緊迫感で、この3人に救われてほしい、と思わされてしまうキャラクター造形も見事でした。

中盤、アパート管理の仕事の途中でディーパンが開けたドアからハトが飛び立つシーン、ヤリニが家政婦の仕事の合間にタバコを吸い窓を開けるシーンで、3人が少しの安寧と自由を手に入れたことを象徴的に感じさせてくれるのですが、どこか不吉な空気は消えず、またレビューなどで「タクシードライバー」が引き合いに出されたりしていたので、このまま終わらないだろう、という予感は消えませんでした。その予感通り、終盤に悲劇が待っていました。


ディーパンの暴力を心から憎む思い、武器の使用禁止区域として白線を引くシーンには胸が締め付けられました。



アジトに乗り込む途中で頭部に被弾したかにも見えることから、ラストは現実なのかディーパンの夢みた世界なのか、明確なこたえはでませんが、現実であってほしいと思わせてしまうのも、この映画の魅力からだと感じました。


たとえばスコセッシの「キングオブコメディ」のラストは主人公の妄想=バッドエンドとして解釈したほうが個人的には納得いくのですが、

この「ディーパンの闘い」は、バッドエンドとして解釈したほうが物語として筋も通るし余韻のズシンと残る傑作といえる気がするのですが、個人的にはハッピーエンドであってほしい、と思わされてしまう、不思議な作品でした。

コーエン兄弟はどう受け取ったのか、気になる所でした。

 


映画『ディーパンの闘い』予告篇